動物園や水族館の人気モノと言えば、ペンギン。
色んな種類がいるペンギンですが、素人目で見ると違いがちょっと分かりづらいですよね?
今回は、日本の動物園・水族館でメジャーなペンギンたちの紹介をします。
この記事を読んで、ペンギンたちの違いや特徴を知ったら、動物園や水族館巡りがさらに楽しくなると思いますよ!
キングペンギン
ペンギンと言ったら、多くの人がこの姿を想像するのではないでしょうか?
名前の由来
キングの名に恥じず、ペンギンの中で
2番目の大きさを誇り、
90cm程度です。
1番目は、キングペンギンと姿が似ている
エンペラーペンギンです(120cm程度)。
キングペンギンが発見された当時、世界で最大のペンギンとして
「キング」という名が付けられました。
ですが、のちに
南極大陸でキングよりも大きいペンギンが見つかったので
キング(王様)よりも偉い
エンペラー(皇帝)と名付けられたそうです。
見た目の特徴
足が灰色で、くちばしや側頭部、のどから腹にかけての鮮やかなオレンジ色が特徴です。
ひなのころは体毛が茶色で、モフモフしています。
この毛は次第に抜けて生え変わり、見慣れたキングペンギンの姿となります。
[caption id="attachment_371" align="alignnone" width="800"] 親鳥並みにでかくなるひな。でかすぎる・・・。[/caption]
過酷なキングペンギンの子育て
[caption id="attachment_375" align="alignnone" width="540"] ひなが群れてできる集団「クレイシ」。見える茶色の物体は全部ひな[/caption]
キングペンギンは南緯45度から55度にかけての南極地域という場所に住んでいます。
非常に寒い地域なので、親の脚の上に卵やひなを乗せ、だぶついたおなかの皮(抱卵嚢、ほうらんのう)をかぶせて生活します。ひなを乗せる期間はなんと2か月にもなるとか。
ひなが大きくなると、ひなが体を寄せ合い群れをつくります。これはクレイシと呼ばれる集団で、集団を作っている間に親鳥はエサを取ってきます。
しかし、クレイシを作る時期は冬なので、魚の数は非常に少なくなります。
親鳥は滅多にエサをあげれないため、春頃にはひなは元の体重の半分程度にまで減ってしまいます。
また、春が来る前に寒さで死んでしまうひなも多く、可愛らしい見た目と反して非常にハードな生活をしているのですね・・・。
[caption id="attachment_374" align="alignnone" width="546"] 抱卵嚢で卵を温める親鳥[/caption]
ジェンツーペンギン
名前の由来
ジェンツーペンギンの「
ジェンツー」は、
ポルトガル由来の言葉で「
異教徒」を意味します。
頭の模様が
イスラーム教のターバンに見えることから名付けられたと言われています。
カトリックが大半を占めている
ポルトガルでは、
イスラームのターバンを身に着けてるジェンツーペンギンは異教徒に見えたのですね。
また、和名で「
オンジュンペンギン」と呼ぶのですが、その名の通りジェンツーペンギンは
温順な性格をしています。
というのも、ヒトを恐れないペンギンの中でもジェンツーペンギンはとりわけ
好奇心が強くて、ヒトに慣れやすい性格をしています。
そのような姿から
温順という名が付いたのですね。
見た目の特徴
[caption id="attachment_379" align="alignnone" width="351"] ジェンツーペンギン。ヘッドホンのような白い線が特徴的。[/caption]
くちばしの両側は赤く、足はピンクやオレンジ色をしています。
そして、名前の由来ともなった頭頂部を通って両目に繋がっている白い模様が特徴的です。ターバンというより、ヘッドホンっぽいような・・・。
泳ぐのはペンギン界で一番得意!
ペンギンの泳ぎの速度の平均は時速7km/h、秒速2m/sぐらいなのですが、ジェンツーペンギンはなんと時速35km/h、秒速10m/sぐらいにもなります。
その速さを利用して、水中から華麗にジャンプして陸地に着地する「ジャンプアップ」が得意です。
名前の由来
イワトビペンギンの由来は、その名の通り
岩場をジャンプしながら移動する様から名付けられています。
英名だと
ロックホッパーペンギンです。そのまんま。
見た目の特徴
[caption id="attachment_383" align="alignnone" width="525"] ダイナミックに広がる飾り羽が特徴的。[/caption]
体長は50cmと、キングペンギンの約半分程度しかなく、ペンギンの中では小さめです。
真っ赤な瞳と小さなくちばし、
ピンクの足があります。
そして何よりも、一番目立つのがまゆげのように見える
黄色い飾り羽です。
とても主張してくるこの飾り羽は、
イワトビペンギンの
攻撃的な性格を良く表しているようにも見えますね。
赤い目に勇ましい飾り羽、まさにロックな姿です。
母親が卵を蹴る?!
[caption id="attachment_384" align="alignnone" width="640"] イワトビペンギンのひな[/caption]
正確には、
イワトビペンギンの仲間、マカロニペンギン属全般に言えることなのですが、なんと
母親が自らの卵を蹴るそうです。
イワトビペンギンは卵を
2つ産卵しますが、大抵の場合が最初の卵は割れてしまい、
孵化できない状態になるそうです。
二個目の卵が大きく、
丈夫なひなが生まれるのでそちらを優先し、
一個目の卵は保険のため、という説があります。
マカロニ属のペンギンたちはなかなかに
鬼な子育てをしているようですね・・・。
ケープペンギン
名前の由来
ケープペンギンはアフリカ南部の沿岸地域にのみ生息していて、その名の由来は
南アフリカのケープ地方から来ています。
ケープペンギンが属する
フンボルトペンギン属のペンギン全種類の共通点として、黒い足から
「クロアシペンギン」や、鳴き声がロバに似ていることから
「ジャッカス(オスのロバ)ペンギン」と呼ばれています。
ちなみに、ロバの鳴き声がこちら。
結構似てる・・・?!
見た目の特徴
黒いくちばしと足に加えて、胴体にから頭部にかけて白い線が入っています。
そして、目の周りの
ピンク色の模様が特徴的です。
これも、ケープペンギンが属する
「フンボルトペンギン属」共通の特徴となっています。
そのため、次に紹介する
フンボルトペンギンや、マゼ
ランペンギンに非常に似ていています。
見分け方は、彼らの紹介をする時に説明します。
石油の流出に苦しむケープペンギン
ケープペンギンが生息しているアフリカ大陸南部は、
土地開発による環境破壊などで
絶滅が危惧されています(現在、
絶滅危惧種(EN)に指定)。
特に
2000年に起こったトレジャー号の石油流出事故によってケープペンギンは大きな被害を被りました。
ボランティアの方々の協力により、
17,500羽近くのペンギンたちが保護され、石油まみれの身体を洗浄や、
リハビリテーションを行ったそうです。
また、現在もなお石油等の不法投棄が相次いでおり、早急な対策が必要とされえちます。
東部動物公園のグレープくんが「けものフレンズ」コラボを通して人気ですね。
特別措置でフンボルトペンギンのパネルだけ残してあげてるようです。
名前の由来
フンボルトペンギンが生息する
南アメリカを沿うように流れるペルー海流、別名は
フンボルト海流と言い、そこから名づけられています。
また、
フンボルト海流はドイツの地理学者、
アレクサンダー・フォン・フンボルトが由来であり、元をたどれば
彼がフンボルトペンギンの名前の由来ともいえますね。
彼は
気候という概念を作り出し、
気候によって動植物の分布が違うのではないか、ということを発見しています。
近代地理学の父、と言われるように、地理学の基礎を作り出した人です。
見た目の特徴
フンボルトペンギン属に共通する、
黒いくちばし、
足に、
目の周りがピンク色に染まっています。
ケープペンギンやマゼ
ランペンギンと違うのは、
腹の黒い線が二匹よりも太いところ、そして一番の違いは
口元まで大きくピンク色が広がっている点です。
フンボルトペンギン属は非常に似ているので、違いを知っておくと友達や恋人にちょっとしたうんちくとして自慢できるかも?しれませんね。
絶滅危惧種だけど数が増えすぎるペンギン
ケープペンギンと同様に、繁殖地の破壊によって
絶滅危惧種に指定されている
フンボルトペンギンですが、実は日本の動物園では、
増えすぎるという謎の現象が起こっています。
実に、日本で飼育されている全11種類のペンギンのうち、
半分はフンボルトペンギンと言われています。多すぎです。
というのも、
フンボルトペンギンが生息している
チリの気候と、日本の気候がそっくりで、
温かい環境が繁殖に適しているようです。
寒い場所に住んでいるイメージが強いペンギンですが、それに反して
フンボルトペンギンやその仲間は
温かいところが好きなんですね。
あまりにも増えすぎてしまったために、動物園などでは、これ以上数を増やさないように
フンボルトペンギンの
卵を石や粘土で作った卵(擬卵)に置き換えています。
卵を取っただけだと、ペンギンたちが
「卵がなくなった?!」と混乱してしまうので、それを避けるために置き換えています。
2ヵ月後ぐらいに、
擬卵と本物の卵をまたすり替えさせて、「孵化」に失敗した、と彼らに勘違いさせるようにしています。
増え過ぎを防ぐためとはいえ、ちょっと可哀そうな
フンボルトペンギンです。
名前の由来
マゼランといえば、あの船で世界一周したという、
フェルディナンド・マゼランを連想させます。
実は、マゼ
ランペンギンは彼が
航海中に発見したことから名づけられています。
また、彼の航海記録「最初の世界一周航海記」には、このマゼ
ランペンギンのことが記されており、
ペンギンのことが書いてある本はこれが世界初となっています。
なかなかに、偉大な名前を持ってるスゴイやつです。
見た目の特徴
マゼ
ランペンギンも
フンボルトペンギン属のペンギンなので、
黒いくちばしや足、
ピンクで囲まれた目を有しています。
フンボルトペンギンやケープペンギンと異なるところが、
腹の黒い線が二本になっています。
上の二匹とマゼ
ランペンギンの決定的な違いで、判別しやすい特徴だと思います。
夫婦愛の強いマゼランペンギン
ペンギンは基本、つがい(夫婦)となり、共同で子育てをする生き物です。
例えばキングペンギンは同じつがいで2回以上の繁殖はすることがあまりなく、
夫や妻をとっかえひっかえする浮気者(?!)ですが、マゼ
ランペンギンの夫婦愛は非常に深いです。
彼らの結婚生活は何年にも渡って続き、巣穴も同じ場所に作るという、
思い出深いペンギンです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
同じペンギンでも姿や特徴が十匹十色というのがわかっていただけたと思います。
今度動物園や水族館に行ったときは、きっとより楽しくペンギンたちを見ることができるんじゃないでしょうか?
どの動物園にどのペンギンがいるかは、このサイトを見ることをお勧めします。
今回紹介したペンギン以外にも、あと12種類も存在します。
気になった方は、ぜひ他のペンギンも調べてみてください!