皆さんは「ユキヒョウ」をご存知でしょうか?
約60万年前、氷河期が訪れた際にアジアに生息していたヒョウは寒さを避けるために南下しました。
一部がその場にとどまり、極寒の気候に適応し、進化したのがユキヒョウとされています。
同じヒョウの仲間とはいえ、住んでいる地域が全く違うので、その生態もヒョウとは異なる点が多いです。
今回は神秘的な姿を持つ「ユキヒョウ」についてご紹介します。
ユキヒョウとは?
分類 | ネコ目ネコ科ヒョウ属 |
体長 | 100cm - 150cm |
尾長 | 80cm - 100cm |
体重 | 40kg - 50kg |
生息地 | 標高600 - 6,000mの岩場や草原 |
保全状況評価 | 絶滅危惧種 |
ユキヒョウはアジア中央のみに生息し、夏は標高3000mから6000m程度の高原や岩場にて活動しています。
しかし、冬になるとユキヒョウが住んでいるような標高では獲物が少なくなり、標高1000m程度の地域まで降りてきます。
ヒョウと同じように、身体には黒斑が円状に並んでいます。
加えて、ユキヒョウの大きな特徴であるその白く長い体毛は、寒さからしのぐだけではなく、カモフラージュの役割も大きく果たしています。
美しい白い体毛とヒョウ柄の模様によって雪が降る岩場では全く目立たない模様となっています。
雪が舞い降り、静かにたたずむユキヒョウの姿はとても凛々しいです。
しかし、美しい動物の宿命とも言うべきでしょうか、その毛皮を狙ってユキヒョウは乱獲されています。
他にも、気候変化による生息域の縮小、家畜被害を防ぐための射殺などが原因で、個体数は激減しており絶滅の危機を迎えています。
こうした状況を踏まえて、現在ではユキヒョウの保全活動が行われています。
岩場と色合いが近いのが分かると思います。
ユキヒョウと普通のヒョウとの違いは?
ヒョウの仲間であるユキヒョウですが、生息域が大きく異なるため、その形態もいろいろな点で違いが生まれています。
過酷な寒さに適応した毛皮
ユキヒョウが生息している標高6000m程度の地域になると、マイナス20度は下回ります。
そういった寒さに適応するために、ユキヒョウの毛は非常に長くモフモフとなっていて、一番長いおなかの毛は12cmにもなるそうです。
1cmあたりの毛の本数は3万6000本程度で、これはヒョウの2.4倍もモフモフということになります。すごくモフモフしています。
また、耳は体温が奪われやすい部位なので、そこも毛でしっかりと保護されています。
岩場に適した体格
険しい岩場に生息するユキヒョウは、転落しないように重心を安定させる必要があります。
そのため、ユキヒョウの胴は太く、足は短くなっています。そして、しっぽは長くバランスを取りやすくなっています。
山岳に適した体格となっているので、ヒョウよりも走るスピードは遅いです。
上ヒョウ、下ユキヒョウ
鼻の中の空洞は広くなっている
冷たい空気を吸った際に、肺が刺激されないように鼻の中、鼻腔がヒョウと比べて大きくなっています。
呼吸の時、吸った空気を加湿、加温できるようになっていて、マイナス20度の空気も難なく吸える様になっています。
しっぽをマフラーのように巻く姿が可愛い
ユキヒョウは、しっぽを口にくわえてマフラーのように巻く姿がよく見られます。
なんともまあマヌケな姿なのですが、この習性には理由があって、ストレスを感じた際に安心感を得ようとしてしっぽをくわえているそうです。
人間でいう安心毛布(毛布などのお気に入りの物を肌身離さず持っていて、安心感を得ている状態)みたいな感じでしょうか?
ただ、安心感を得るという理由だったらしっぽが長い動物は全部やってそうな習性なので、もっと他の理由があるような気もします。
イエネコかと思ったらユキヒョウだった?
ユキヒョウというと、ネット上を騒がせたある珍事件を思い出します。
2008年、中国に住む一般人が飼っていたネコが実はユキヒョウだったということが判明しました。
草原で子猫を拾って育てていくとみるみる内に白いヒョウのような姿になっていったそうです。 ユキヒョウを知らなかった中国人は、「ヒョウっぽいけど、何か変だなあ」程度にしか思っていなかったそうです。
しかし、、ネコが羊を喰い殺したのを境に「やっぱりヒョウなのではないか?」と疑い始めました。
専門家に鑑定を依頼するとユキヒョウだったことが判明したそうです。
ちょっと気付くの遅すぎな気もします・・・。ユキヒョウとイエネコの大きさなんて比較するまでもないのに。
ユキヒョウ発覚後は飼い主が住んでいたウイグル自治区の林業庁が保護し、無事野生に返したそうです。
あんなモフモフな動物を個人で飼えてたのは、邪な気持ちではありますが、少し羨ましく感じます。いいなぁ・・・。
ユキヒョウのかっこかわいい画像集